ニッチ戦略とオワコン

こちらの記事(→)では、かぶと虫の例でニッチ戦略の誤解についてお話ししました。

「ニッチ」とはナンバーワンになれる場所や時間のことであり、その時間や空間で適切な戦略を立案し実行することを『ニッチ戦略』と呼びます

場所だけでなく、「時間」にも注目すべきであるところが重要です。

ただし、ニッチ戦略にまつわる誤解はこれだけではないようです。

たとえば、「ニッチ」という言葉の響きから、売上規模の小さい事業が採用すべき戦略、という意味でニッチ戦略が語られることもあります。

これは大きな誤解です。

一般的にニッチ市場は、市場が発展していく初期の段階において大企業が見過ごしている市場、あるいは成熟市場において一定の見込ユーザーが存在するものの大手に支配されていない市場のことを指します。

その中で上手く戦略を実行できたら、とてつもない売上を達成できる可能性があることは容易にイメージできます。

また、差別化とニッチについても混同して使われているケースが多いようです。

たしかに、業界大手のリーダーとは同じ土俵に立たないという意味では、ニッチと差別化は似た概念です。

ですが、両者は似て非なるものです。

簡単に言うと、差別化とはリーダーと直接戦う戦略のことで、ニッチは(小さい角のかぶと虫がそうであったように)リーダーとは戦わない戦略のことを意味します。

そのため、差別化戦略では、リーダーとの違いを鮮明に打ち出すことが不可欠で、その上で徐々にリーダーの地位を脅かす存在となり、そのシェアを奪い取ることを目的とします。

一方、ニッチ戦略では、リーダーの地位を脅かそうだなんて大それたことを最初から考えることはありません。

小さな角のカブトムシがそうであったように、限られた市場から実益をもぎ取ることこそ、ニッチ戦略の担い手が目的とするところなのです。

以上ざっくりとではありますが、ニッチ戦略に関するありがちな誤解についてふれてみました。

ところで、そんなニッチ戦略ですが、その種類は十種類にも及ぶと言われています。

これまで「カブトムシ」の例などを交え、比較的分かりやすい「時間」と「空間」を対象とするニッチに限定してお話しを進めてきましたが、早稲田大学ビジネススクールの山田英夫教授によると以下10種類が想定されるとのことです。

※ DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー/早稲田大学ビジネススクール経営講座~リーダー企業と戦わず、「ニッチ」を狙え(2015.03.10)より引用 https://www.dhbr.net/articles/-/3147?page=2

1.技術ニッチ…(例)眼科領域に特化した参天製薬、歯科用医療機器のマニー

2.チャネル・ニッチ…(例)税理士ルートをおさえた大同生命、バレエ教室ルートをおさえたチャコット

3.特殊ニーズニッチ…(例)タクシーの自動ドアに特化したトーシンテック、理容・美容用椅子に特化したタカラベルモント

4.空間ニッチ…(例)北海道に特化したコンビニのセイコーマート、豊橋のヤマサちくわ

5.時間ニッチ…(例)ドーピング検査のLSIメディエンス、棚卸代行のエイジス

6.ボリューム・ニッチ…(例)卓球のタマス、ハイエンド・アウトドア用品のスノ-ピーク

7.残存ニッチ…(例)レコードの東洋化成、レコード針のナガオカ

8.限定量ニッチ…(例)JR東日本の記念スイカ

9. カスタマイズ・ニッチ…(例)銀座山形屋の注文服、アメリカン・エキスプレスのカード

10.切り替えコストニッチ…(例)クオリカプス、ホギメディカルの手術キット製品

こうしてみると、ひと口に「ニッチ戦略」といっても多種多様です。

この中で、Internetマーケティングやネットビジネスといった、長らく私自身が携わってきた領域でも使えるニッチ戦略はどれか?

どれもこれも使えそうなヒント満載なのですが(笑)、中でも空間ニッチ、時間ニッチ、残存ニッチ、カスタマイズニッチなどは人を選ぶことなく適用しやすいニッチだと思います。

たとえば、『残存ニッチ』。情報の流行り廃りが激しく、ほとんどの人が新しいもの(流行モノ)に飛びつきがちなネット市場では、実は、「流行遅れ」「オワコン」との烙印を押されてしまったかのようにみえる『すたれ(廃れ)モノ』に関する情報量が圧倒的に手薄です。

大手業界リーダーも新しい情報や「これから来る」といった未来予測については熱心です。

ですが、『オワコン』と多くの人が思い込んでいるサービスや情報は本当に“オワコン”なのか?

こうしたことについて問題提起しているリーダーをほとんど見かけません。

もし、『オワコン』。つまり衰退期にあると思われているコンテンツやサービスの中に“新しい価値”を見出すことが出来たとしたら、かなり面白いニッチ戦略の展開も見えてきそうです。

もちろん、それは、小さなな角を持つカブトムシ族たちが担うべき戦略となるでしょう。

さて、あなたの角は大きいの?

それとも、小さいの?

私はちっちゃいのしか持ってないから、今日もこんな話をしています。

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